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梅田 享英(Umeda Takahide)
工学博士・助教授
筑波大学・大学院図書館情報メディア研究科&
知的コミュニティ基盤研究センター(知の環境基盤研究部門)
1971年,石川県生れ.東京・茨城育ち
電話&ファックス:029-859-1307
E-mail:u m e d a @ s l i s. t s u k u b a. a c. j p
住所:〒305-8550茨城県つくば市春日1-2
大学での居所:春日キャンパスの化学実験室(講義棟2階),508号室(研究棟5階)
※508号室にはほとんどおりませんので,訪問の際は直接,化学実験室にお越し下さい.
●大学院生・ポスドクを募集しています●
・筑波大学大学院博士課程(前期・後期)図書館情報メディア研究科・情報メディア開発分野
毎年8月と2月に入試があります.願書は7月下旬と1月上旬に受付しています.
詳しくはhttp://www.slis.tsukuba.ac.jp/grad/
まで.
当研究室で作っている2つの公開WEBデータベース
半導体のEPR(電子スピン共鳴)センターのWebデータベース 「EPR in Semiconductors」
半導体の結晶欠陥のWebデータベース 「Defect Dat@base」
授業との関係
・図書館情報専門学群
「化学 / 物質の科学」1年次,3学期(火)5・6限: 高校の化学とは一味違う視点で,「物理化学」をベースに物質の個性(性質)がどのような原理から導かれるのかを中心に講義しています.と言うのも現代の化学は,コンピュータを駆使した理論計算化学が 大きな勢力になっているからです.とはいえ図書館情報専門学群向けだから,あくまで分かり易く.複数の教員による授業ですが,ややこしいのは年度によって担当者が変わることです(梅田は毎年です).H18年度で終了.
「情報処理デバイス」3年次,1学期(金)1・2限: 言うなれば「エレクトロニクス」に関して講義しています.対象は幅広く,表示デバイス(ディスプレイ)から通信デバイス,CPUや半導体メモリまで.結局のところ,情報というのは電気,光,磁気のいずれかで表現されており,この3つを「半導体」という特別な物質でコントロールしているので,半導体のことを説明している時間が長いですね.
「科学技術データ処理」3年次,1学期(火)1・2限: 科学技術研究の現場で使われる典型的なデータ処理法を演習・実験&レポート形式で教えています.でも,レポートが沢山でるから学生には人気がないですね.こちらとしても演習・実験の準備がかなり大変なので,お互いに損している感じ.水落憲和先生と約半分ずつで担当しています.
「図書館情報管理実習I」3年次,1学期(月)1・2限: ずばり言って公務員試験対策の講義.5人の先生で担当.梅田はマイナーパートの「自然科学分野(数学,物理,化学,生物,地学)」を担当しています.とにかく 実際の問題を解いてもらった方がいいと思うので,テスト形式でやっています.いつも思うのは,出来る人と出来ない人の差が非常に激しい,ということ.H18年度で終了.
・大学院図書館情報メディア研究科(博士前期)
「コンテンツ記録媒体論」1学期(火)4・5限: コンテンツというかディジタル情報を記録しておく方法について,大学院らしく奥深くまで突っ込んでみようというスタンスでやっています.情報は電気,光,磁気で表されるので,記録の方法も主に3つの方法に分けられますね.そう考えると,この分野が結構見通せるんじゃないかな.もう1つ,現代では情報通信(配信)が情報記録と競合するテクノロジーになっているので,講義の内容に含めています.
「情報メディア実験・演習I・II・III」1・2・3学期: いわゆる修士課程の学生指導の時間です.
・情報学群情報メディア創成学類(2007年度~)
「情報メディア機器I」(担当予定)2年次 情報を記録するための電気的,磁気的,光学的メディア,光通信や無線通信を行うための機器の中身,情報メディア機器を動かすために必要なバッテリーの技術などを講義する予定.3年次に続きの「情報メディア機器II」が用意されている.
「情報デバイス」(担当予定)3・4年次 現代の高速情報処理を担う大規模集積回路とは一体何者か?,集積回路がなぜかくも急激に進化するのか?について講義する予定.
「情報メディア実験」(担当予定)3年次 学生と一緒に実験.
学生との関係
概してどの学生も個性的で印象深いものなのですが,ここではそのうち教訓的な例について取り上げてみましょう.
石塚君(博士前期2003-2004) 彼は磯谷順一先生のところの学生でしたが,その頃,磯谷先生が研究科長職で忙殺されていたので,梅田が度々面倒を見ていました.彼を素晴しいなと思ったのは,彼の方から定期的に「これ教えて下さい」「こういう結果が出ました」などとコンタクトをとってきたことです.そう,私が図情の学生と付き合っていて足りないなあと思うのは,いつもその点なんです.つまり,こちらから働きかけないとリアクションが無いということ.彼には積極性がありました.だから一緒にやっていて楽しかったですね.そんな彼だから結構結果を出してくれて,彼との共著の論文がMaterials Science Forum(2004年)とPhysical Review B(2005年)に載りました.これは一般的な理工学部の学生と比べても,いい線行っているのではないでしょうか.
その他 筑波大学体育会ワンダーフォーゲルクラブ(通称,ワンゲル)の副顧問をやっています.そのおかげで他学類の学生とも交流が少し.たまに一緒に山に登っています.
研究との関係Q&A
「何の専門家ですか?」 お世辞にも「情報学」の専門家とは言えないですね.情報処理学会にも入っていないですし.基本的には「半導体中の結晶欠陥(Defects in Semiconductors)」の専門家であります.それを調べるために「電子スピン共鳴法」なる実験技術を用いていて,この技術に関しては世界のトップクラスだと思っていますが,果たして・・・.え? 何でそんなことを調べているのかって? それは結晶欠陥というものが,半導体から作られるエレクトロニクス・デバイスの性質・能力と深く関連していて,エレクトロニクスの発展に必要不可欠の研究だからです.最近では,もっと柔らかい,少し「情報学」らしきこともやり始めましたが(Webデータベース開発・運営活動),まだまだこの方面は修行が足りないですね.
「現在やっている研究は?」 ちょっと重いですが,こちらをどうぞ:【梅田ラボ1ページ紹介(PDF 650KB)】.発表論文についてはこちら:【梅田の発表論文リスト】.全部,英語の論文ですが.また,1人ではなく,色々と様々と連携してやっていますので,それらをひっくるめた研究の紹介はこちらが詳しいかも:【「知の環境基盤研究部門」ホームページ】.エレクトロニクスというのは非常に対象が広いですから,梅田が相手にしている事象もかなり多岐に渡っています.とても一人では手に負えないくらい.誰か一緒に研究をやりませんか?
「研究のスタンス」 基本的には,社会に実際に役に立たないと,という応用派です.やっていることは基礎的な研究なのですが,しかし研究テーマにはそういった意識が必ず入るように心掛けています(そうでもない? いやそんなことないはず).
「所属学会は?」 応用物理学会のみなんです.自分でも少ないなあとは思っているのですが,学会費を自費で払うとなると1つくらいが限界かもしれません.
「外部との共同研究は?」 企業では日本電気株式会社,エルピーダメモリ株式会社,国立系の研究所では日本原子力研究開発機構,産業技術総合研究所,物質材料研究機構,大学では海外になりますがLinköping University(スェーデン),Budapest University of Technology and Economics(ハンガリー)があります.サンプルは頂いているけど,共著論文はまだ・・というケースも含めればもっと多いです.
筑波大学に来る(01/04/2003)前までの経歴
※それ以降の研究発表は「知の環境基盤研究部門」ホームページをご覧下さい.
1994-1999 筑波大学大学院博士課程工学研究科(物質工学専攻).
連携大学院制度を使って,旧通産省工業技術院・産業技術融合領域研究所(通称,融合研)の田中一宣・山崎聡研究室にて研究の修行をしました.テーマは「水素化アモルファスシリコンの局在準位の研究」.アモルファスシリコンというのは民生用太陽電池やアクティブマトリックス式液晶ディスプレイに使われる半導体材料で,それらのデバイスの性能を上げるための基礎研究をやっていました.それはさておき,この研究所では,その当時まだ言葉も珍しかった「ナノテクノロジー」を世界に先駆けて日本で立ち上げようと,産官学一体の巨大研究プロジェクト(予算規模100億円以上だったと思う)が走っていました.周りにいる人はすごい人ばかりで,本当に貴重な体験ができ,そして自らも楽しく研究することが出来ました.「研究って結構面白い」というのはこの時学んだんですね.1999年,Ph.D取得(工学博士).
1998-1999 日本学術振興会特別研究員DC/PD.
いわゆる「ガクシン」です.博士の最終年次から始めて,半年間だけPDもやりました.博士課程のテーマとは別に「結晶シリコン表面の化学反応過程の電子スピン共鳴法観察」なるテーマに取り組みました.かなりチャレンジングなテーマで,結果が出るまで1年以上も失敗を繰り返して猛烈に苦しみましたが,その時の経験で「失敗が大きいほど大きな成功(ブレークスルー)が訪れる.それまでいかに耐えられるかが勝負」という教訓を得ました.たぶん,多くの研究者に共通する意識ではないでしょうか.
1999-2003 日本電気株式会社(基礎研究所,シリコンシステム研究所).
企業の研究所に入ったのは,今まで蓄えてきた基礎研究の力を実際の場に応用してみたいと思ったからです.とは言え,やっぱり思い通りには行きませんでした.現場の研究開発のスピードの速さに,基礎的な研究はなかなかついていけませんでした.論文もなかなか書けませんでしたね.しかしながら企業に居ると,望むと望まざるをにかかわらず色々なテーマを担当しないといけないし,またアカデミックな世界とは異なるバックグランドをもった人とコミュニケーションを取らないといけないので,多面的にかなり鍛えられたような気がします.いつの間にか色々な技術が身に着いたのもこの時期でした.例えばフォトリソグラフィーの技術などもその1つです.結果も出始めてきて「さあこれから」という時期に辞めることになったので,その点は本当に申し訳なく思っています.ただ幸いなことに,今でも日本電気株式会社とは受託研究の形で一緒に研究をやらせてもらっています.あと,もう1つ重要だったと思うのは,社会的なニーズをベースに研究を構築しようとする意識が身に着いたことです.例えば,大学では研究予算は科研費や校費などを指すのですが,企業では人件費(給料)も含めて研究費を考えます.そういう(たぶん,より一般的な)考えに立つと,私達は毎年決して少なくない額の研究費(税金)を使用していますから,社会に還元できるような研究をしなければならないと思うのです.
以上,個人的な紹介のページなので,かた苦しくなく,個人的に,正直に書いてみました.役に立ちましたか? それでは,また.