高等教育のユニバーサル化の進展とともに、近年大学の教育の品質や有効性などに関する説明責任が強く求められるようになり、大学図書館でも、大学が担う役割にどのように沿っているかが問われている。説明責任のエビデンスとしては、大学図書館のアセスメント結果が適切である。ただし、その品質や有効性などが問われる以上、アセスメントはその活動実績を示すものというよりも、たとえば学生から有用と認識されているか、学生の学習環境は十分なのか、学生はどのような学習成果を得られているか、また、大学図書館は学生の学習成果達成にどれほど貢献しているかなどを検証するものとなる。
しかし、これらの成果アセスメント手法は、今日に至るまで明確に設定されているわけではない。本研究では、そのために図書館利用のあり方から学生たちの学習成果への道筋を探索するとともに、利用のパターンにより学習成果との関連性を明らかにしようとする。表1は、これまで実施した調査内容である。また、表2は、その調査結果のうち、各大学の利用のあり方(拡張利用とは、図書館をおしゃべりの場やPC施設などとして利用するもの、学習利用とは資料利用や調査利用、散策利用とは、ブラウジング利用など)と学習成果との関連性を示す。学習利用因子と学習成果との比較的密な関連性のほか、散策的な利用との関連性が示されている。